◆令和6年度SSH事業年間計画は、こちらです
《令和6年度 主な学校設定科目等》
1 学校設定科目「STREAM探究基礎」対象:理数科・普通科1年 2単位 木曜日6・7限目に実施
ア 目的
多くの地域課題について、論理的な視点、創造的な視点の多角的視点で解決方法について教科等横断的に取り組むSTREAM型課題研究の基盤となるように、地域課題探究プログラムとデータサイエンスを新たに取り入れ、しっかりとした先行研究をさせた後、生徒の主体性を生かしながら、課題研究に取り組ませ、科学的探究力や独創的創造力を育成する。
イ 期待される成果
デザインやアイデアに関する演習やデータサイエンスの手法を用いて論理的にデータを取り扱う演習をさせることで、課題を解決して新しい価値を創生するために必要な幅広い視野や多角的なものの考え方、柔軟な発想力、論理的思考力を養うことができ、教科等横断的で文系、理系の枠を越えた人材の育成が期待される。
ウ 内容
理数科、普通科生徒が課題研究に取り組む基盤として、探究活動の方法について理解を深め、多面的思考力を育成するための地域課題探究プログラム「Regional Future Design」を新たに開発し、大学や企業と連携し、南海トラフ地震事前復興デザイン探究、地域課題解決ロボットアイデア探究、RESAS等を活用した地域課題解決データサイエンス探究に取り組ませる。その後、研究テーマ創出、グループに分かれた探究活動を行わせる。
エ 実施方法
(ア)地域課題探究プログラム「Regional Future Design」
宇和島市は南海トラフ地震で、津波をはじめとした大きな被害を受けることが予測されている。南海トラフ地震事前復興デザイン探究では、東京大学、愛媛大学等と連携し、東日本大震災における復興の取組や課題をもとに、防災や減災に対する理解を深めるとともに、災害に強いまちづくりや様々な被災者の立場に立った事前復興について、アイデア創生やロールプレイングディスカッションを行わせる。
また、宇和島地域の主産業である農業、水産業の衰退は、地域の大きな課題である。今後、これらの課題を解決する大きな役割を担っているのがAI、IoT、ロボットであり、地域課題解決ロボットアイデア探究では、ロボット開発の先端企業であるTHK株式会社と連携し、サービスロボット、協働型ロボットについて学び、高齢化社会において第一次産業を変革するロボットアイデア創生実習を実施する。
(イ)データサイエンス講演会Ⅰ
滋賀大学データサイエンス学部と連携し、講演会を開催し、データに基づいた判断の重要性、データサイエンスの活用例等についての講演していただき、様々な課題解決に統計データを利活用する方法について理解させる。
(ウ)地域課題データサイエンス探究
地域課題データサイエンス探究では、人口動態、産業構造、観光資源等を可視化できるWebアプリケーションであるRESAS(地域経済分析システム)の活用方法について学んだ後、人口動態、産業構造、観光資源等に関する統計を分析し、設定した課題を解決する有効な方法を提案させる。複数の地域を比較しながら、様々なビッグデータを活用し、地域産業、地域医療、地域観光等の課題解決の方法を論理的に説明するプレゼンテーションを作成させる。地域課題探究プログラム及び地域課題データサイエンス探究は1年生前期に15時間程度指導する。
(エ)課題研究基礎
課題研究の方法について、本校生徒等の全国入賞した課題研究を用いて研究の方法やまとめ方の着地点を理解させる。また、本校のホームページに掲載している過去9年間482テーマの課題研究論文を参考にさせながら、地域の課題について、研究テーマの見つけ方、先行研究の調査方法、仮説の設定、データの集め方及び表現方法、統計処理の方法、仮説の検証方法、レポートのまとめ方、発表方法などを通して身に付けさせる。15時間程度指導する。
(オ)課題研究
生徒自身が興味・関心を持っている分野、自らのキャリアデザインを考え、課題研究A講座、B講座に分かれ、研究に取り組ませる。課題研究A講座では、地域素材を活かした自然科学等に関する観察・実験を伴う課題研究を実施し、課題研究B講座では、地域創生、防災等についてデータサイエンスの手法を用いた課題研究を行わせる。生徒の主体性を大切にしながら、各グループが設定したテーマで課題研究を40時間程度実施する。テーマ検討会の際、宇東サイエンスメンター制度を活用し、来校した愛媛大学大学院教育学研究科の大学院生に指導助言していただく。課題研究は、学年、各教科、SSH推進課が連携し、チーム・ティーチングを行う教科等横断的な指導体制で実施する。課題研究の実施に当たっては、愛媛大学や愛媛県農林水産研究所、企業、市役所等から、専門的な内容や技術的な指導を受けることができる体制を構築する。課題研究の進捗状況をポスターにまとめ、11月に課題研究中間発表会を実施する。ルーブリック評価を活用しながら、全てのグループの研究について、運営指導委員、愛媛県総合教育センター指導主事から指導助言を受ける。1月から論文の作成、ポスターの作成に取り組ませ、2月に講座内発表会を実施する。講座内の代表班は、3月に開催するSSH研究成果報告会で口頭発表を行い、それ以外の班はポスター発表を行う。
オ 検証評価方法
課題研究のワークシート、データ、資料、感想等は、課題研究ラボノート(研究のデータ等を記録するノート)に記録するとともに、1人1台端末のTeams、OneDriveや教育支援用アプリを活用して、写真やビデオも含めたデジタルポートフォリオとしても記録・保存し、定期的に自分の課題解決能力やプレゼンテーション能力の変容を確認し、ルーブリック評価を活用して、自己評価及び相互評価、教員による評価を行い、検証する。また、事前事後のアンケートをもとに、生徒の変容について分析する。課題研究中間報告会、SSH研究成果報告会についても、1人1台端末のクラウドに保存し、2年次の課題研究に生かしていく。さらに、生徒の評価・分析に、本校SSH運営指導委員・愛媛大学教育学部 隅田学教授が開発された「サイバー・メンタリングシステム」を活用する。このシステムにより、生徒の発表動画と高校教員・大学教員等の評価コメントをシンクロさせ、それらのポートフォリオをオンライン上でつくり、それを蓄積しながら、発表のブラッシュアップを行っていく。
2 学校設定科目「STREAM探究Ⅰ」対象:理数科・普通科理系2年 2単位 火曜日6・7限目に実施
ア 目的
1年次にSTREAM探究基礎で取り組んだ課題研究を基盤に、自然科学等に関する観察、実験を伴う研究を実施する。データ収集、データ分析、考察、まとめの過程でデータサイエンスの手法である統計的探究プロセス(PPDACサイクル)を用いることで、論理的で説得力のある研究となるように、大学、研究機関の研究室と連携し、指導助言を得ながら質の高い課題研究を行わせる。
イ 期待される成果
データサイエンスの手法を身に付け、科学系部活動や愛媛大学GSCでレベルの高い研究に取り組んでいる生徒がリーダー的な役割を担うことで、グループ全体の研究の質が高まり、イノベーション人材として必要な課題発見力・科学的探究力、多面的思考力・独創的創造力、協働力等を育成できることが期待される。
ウ 内容
理数科、普通科理系生徒が、地域素材を活かした自然科学等に関する研究に取り組むが、課題を明確に設定し、仮説を立て、その検証のための創意工夫した実験方法、実験装置を考案し、失敗を重ねながらもデータを収集し、適切な統計処理を行い、説得力のある研究論文の作成や研究発表を行う。
エ 実施方法
基本的に1年次で取り組んだ研究を継続研究させ、研究内容の深化を図るが、研究テーマや研究内容について再確認した上で、研究実施計画検討会を開催し、宇東サイエンスメンター制度を活用して、来校した愛媛大学大学院教育学研究科の大学院生やSSH卒業生に指導助言してもらう。愛媛大学と連携し、5月に、統計処理に特化した内容の実習に関する出張講義を実施する。また、地域の医療関係機関と連携し、地域医療や現代医療に関する生命倫理講座を実施し、生命倫理について学ぶ。課題研究の進捗状況をポスターにまとめ、10月に課題研究中間発表会を実施する。ルーブリック評価を活用しながら、全てのグループの研究について、運営指導委員、愛媛県総合教育センター指導主事から指導助言を受ける。12月から論文の作成、ポスターの作成に取り組ませ、2月に講座内発表会を実施する。講座内の代表班は、3月に開催するSSH研究成果報告会で口頭発表を行い、それ以外の班はポスター発表を行う。
オ 検証評価方法
「STREAM探究基礎」と同様の方法で評価、検証を行い、3年次の集大成に生かしていく。
3 学校設定科目「STREAM探究Ⅱ」対象:理数科・普通科理系3年 1単位
ア 目的
1、2年次に行ったSTREAM探究基礎、STREAM探究Ⅰの集大成を行うとともに、科学英語による国際性育成を図る。
イ 期待される成果
課題研究のアウトプットに係る活動を積極的に行わせることで、課題発見力・科学的探究力、多面的思考力、コミュニケーション力等の育成を図ることが期待される。また、英語での発表やディスカッションを通して国際性の育成が期待される。
ウ 内容
1、2年次に実施した課題研究を整理し、必要に応じて追実験等を行い、論文にまとめ、科学系コンテストや各種発表会等に挑戦させる。また、愛媛大学留学生とサイエンス・ディスカッションや英語による課題研究発表を行う。
エ 実施方法
1、2年次に実施した課題研究の成果を10枚程度の論文にまとめる。必要に応じて追実験等を行う。自分たちが挑戦する科学系コンテストに向けて計画的に準備を行わせる。科学英語では、来校した愛媛大学留学生とサイエンス・ディスカッションや英語による課題研究発表を行い、国際性を育成する。
オ 検証評価方法
課題研究の成果をまとめ、科学系コンテストや科学系発表会に挑戦させ、アンケートを活用して変容を確認するとともに、ルーブリック評価で検証する。
4 学校設定科目「STREAM探究応用」 対象:理数科2年 1単位
ア 目的
大学、企業と連携し、Society5.0時代における地域の主産業の農業、水産業の先端科学技術による変革について実感させ、ロボット等の先端科学技術の可能性について理解させる。
イ 期待される成果
新しい価値の創生に日々挑戦している研究者から刺激を受け、先端科学技術への理解を深めることで、地域イノベーション人材に向けた生徒のキャリアデザイン能力を高め、アントレプレナーシップを育成できることが期待される。
ウ 内容
愛媛大学農学部や株式会社ディースピリット等と連携した先端科学技術に関する講座を通して、ロボットによる農業や水産業の変革を考察させるとともに、ロボットプログラミング教材を用いた探究活動を実施する。
エ 実施方法
地域の主産業である農業、水産業におけるイノベーションとして、AIやIoTによる植物工場探究(愛媛大学農学部と連携)や自動収穫ロボット探究(株式会社ディースピリットと連携)等の講座を通して、農業や水産業のスマート化について理解を深めさせ、先端科学技術が地域産業の未来を変革することを実感させる。また、ロボットプログラミング教材を用いた探究活動では、課題解決に向けて多くのトライアンドエラーを経験させ、地域イノベーション人材に向けた生徒の資質能力を育成する。多くの機械に活用されている歯車に関するインボリュート探究やロボットアイデアに関するSTREAMアイデア創生探究も実施する。さらに、愛媛大学防災情報研究センター長BHANDARY Netra Prakash氏による先端防災工学探究をオールイングリッシュで受講し、南海トラフ地震への防災対策について議論する。
オ 検証評価方法
各プログラムに対するレポート、データ、成果物等は、1人1台端末のTeams、OneDriveや教育支援用アプリを活用して、写真やビデオも含めたデジタルポートフォリオとして記録・保存し、定期的に自分の課題解決能力やプレゼンテーション能力の変容を確認し、ルーブリック評価を活用して、自己評価及び相互評価、教員による評価を行い、検証する。また、事前事後のアンケートをもとに、生徒の変容について分析する。
5 学校設定科目「グローカル探究Ⅰ(GL探究Ⅰ)」対象:普通科文系2年 1単位
ア 目的
1年次にSTREAM探究基礎で取り組んだ課題研究を基盤に、RESAS、e-Stat、行政や自治体のオープンデータ等を利活用した課題研究を行わせ、データ利活用力を育成する。
イ 期待される成果
ビッグデータの中から選んだ様々なデータを比較しながら、統計分析を行うことで、課題発見・解決能力やデータ利活用力を身に付けることができる。
ウ 内容
RESAS、e-Stat、行政や自治体のオープンデータ等を活用し、地域産業、地域医療、地域観光等の課題解決の方法を統計的探究プロセスで考察し、論理的な研究とする。
エ 実施方法
(ア)データサイエンス講演会Ⅱ
愛媛大学データサイエンスセンターと連携し、実践的なデータ利活用について課題の具体例や課題解決の提案の方法に関するデータサイエンス講演会を実施する。講演会の内容から、1年次に行った課題研究を深める方法を話し合う。
(イ)課題研究
生徒が考える日本や地域の様々な課題(防災、人口、子育て、医療、観光、高齢化等)を解決する具体的な方法を政府統計ポータルサイトe-Stat、自治体のオープンデータ等を利活用し、課題解決の方法を提案させる。その際、各種統計データを地図上に表示し、視覚的に統計を把握できる地理情報システム(GIS)を活用し、図、表、グラフを有効に用いることで論理的でより説得力のある内容になるように指導する。2年生前半の15時間程度で課題設定の理由から課題解決の方法の提案までをポスターに一度まとめさせ、課題研究中間報告会を行わせる。研究が進んでいるグループには、9月に応募できる統計コンテストや地方創生コンテスト等に積極的に挑戦させる。2年生後半18時間程度で、考えた課題解決の方法を更に深めるとともに、実際にフィールドワークなどに当て、論文とポスターを作成させ、SSH研究成果報告会で発表させる。
オ 検証評価方法
「STREAM探究基礎」と同様の方法で評価、検証を行い、3年次の集大成に生かしていく。
6 学校設定科目「グローカル探究Ⅱ(GL探究Ⅱ)」対象:普通科文系3年 1単位
ア 目的
1、2年次に行ったSTREAM探究基礎、GL探究Ⅰの集大成を行うとともに、科学英語による国際性育成を図る。
イ 期待される成果
課題研究のアウトプットに係る活動を積極的に行わせることで、課題発見力・科学的探究力、多面的思考力、コミュニケーション力等の育成を図ることが期待される。また、英語での発表やディスカッションを通して国際性の育成が期待される。
ウ 内容
1、2年次に実施した課題研究を整理し、論文にまとめ、地域創生系のコンテストや各種発表会等に挑戦させる。また、愛媛大学留学生とSDGsに関するディスカッションや英語による課題研究発表を行う。
エ 実施方法
1、2年次に実施した課題研究の成果を10枚程度の論文にまとめ、自分たちが挑戦するコンテストや各種発表会に向けて計画的に準備を行わせる。科学英語では、来校した愛媛大学留学生とSDGsに関するディスカッションや英語による課題研究発表を行い、国際性を育成する。
オ 検証評価方法
課題研究の成果をまとめ、科学系コンテストや科学系発表会に挑戦させ、アンケートを活用して変容を確認するとともに、ルーブリック評価で検証する。
《主な学校設定科目等》
◆学校設定科目「リージョナルサイエンスⅠ(RSⅠ)」
第1学年理数科・普通科生徒を対象に、木曜日の6、7限目に2単位で実施する。その目標は、地域教材を生かした研究テーマを設定し、観察・実験、フィールドワークなど、主体的・体験的な学習活動を通してより深く探究することで、科学的探究心や郷土を愛する豊かな心を育むこと、また、その成果として地域へ情報を発信し、地域社会に貢献する態度を身に付けさせることとする。
◆学校設定科目「リージョナルサイエンスⅡ(RSⅡ)」
第2学年理数科・普通科理系を対象に、火曜日の6、7限目に2単位で実施する。その目標は、「RSⅠ」と同じく、「RSⅠ」で研究した内容を発展させ、科学的に深く研究することで、科学的探究能力、即ち、技能並びに科学的思考力、判断力及び表現力を身につけさせることと強調する。
◆学校設定科目「リージョナルサイエンス探究Ⅰ(RS探究Ⅰ)」
第2学年理数科を対象に、水曜日の7限目に1単位で実施する。その目標は、生命倫理や研究倫理、発展的な英語・数学の知識、自然や科学技術に関する知識や原理・法則の理解を深めるとともに、探究心、思考力、創造力の育成を図り、将来科学者や医療従事者として地域社会や国際社会に貢献する人材の育成に資することとする。
◆学校設定科目「リージョナルサイエンス探究Ⅱ(RS探究Ⅱ)」
第3学年理数科を対象に、月曜日の7限目に1単位で実施する。その目標は、我が国の科学技術を担う人材として、学問分野に対する高い専門性と新しいことに意欲的に取り組む姿勢、そしてプレゼンテーション能力と質疑応答に対応する力が求められる。高校での英語・数学・理科等の学習内容を発展させ、それらの能力の基礎を身につけさせることとする。
◆総合的な探究の時間「リージョナルリサーチ(RR)」
第2学年普通科を対象に、水曜日の7限目に1単位で実施する。その目標は、人文・社会科学に関する課題研究にも求められる、科学的探究能力を育成しながら、コミュニケーション能力、地域貢献力の育成を図るとする。その内容は、昨年度の「RSⅠ」で取り組んだ課題研究を継続させるなど、追加の調査や実験・観察等を行って論文にまとめさせ、3学期に報告会を開催することとする。
◆愛媛大学学生を講師とした「研究テーマ検討会」