地域の理数教育のレベルアップ 

地域サイエンス事業の拡充


【令和3年度の取組】
1 本校生徒が近隣の小学校へ出向いて理科講座を行ったり、中学校の科学系部活動と共同研究を行ったりするなど、理科好きの子どもを増やすための活動を、年間通じて複数回、計画的に行うことで、地域の理数系教育の充実に一層貢献できる。また、小学生理科講座の観察・実験等のブースを増やすなど、実施規模を大きくし、本校生徒・教員とともに小中学校等の教員と連携して、地域の子どもや保護者に対する科学イベントを開催すれば、より広がりのある取組となる。将来的には、小中学校及び高等学校の理科教員にネットワークが生まれ、子どもや保護者に向けて理科自由研究を指導する機会を設けるなど、子どもの課題研究に取り組む素地を身につけさせる機会になることが期待できる。

2 研究内容・方法・検証
(1)宇東SSH小学校出前講座
 科学系部活動に所属する生徒が、近隣の小学校等へ出向いて理科講座を行うことで、理科好きの子どもを増やし、地域の理数系教育の充実に貢献する。本年度、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けながらも、年間通して3回の出前講座(参加者合計:約150人)を実施することができた。




(2)宇東SSH科学系部活動交流会(新型コロナウイルス感染症の感染拡大による中止)
 宇東SSH小学校出前講座と同じく、科学系部活動に所属する生徒が近隣の中学校へ出向いて科学交流(共同実験、共同研究等)を行うことで、地域の理数系教育の充実に貢献する。

(3)宇東SSH科学の祭典(宇和島東高校主催)
 地域サイエンス事業の柱として、豊かな自然に恵まれた地域の特性を生かし、地域の小学生とともに実験・観察を行い、自然科学に触れる活動を通して地域に貢献するために、小学生を対象に宇東SSH科学の祭典を開催する。そこでは、第2学年理数科生徒等が指導的な役割を務め、小学生とともに実験・観察ブースで活動する。なお、宇和島自然科学教室(宇和島市内の小中学校教員で構成される団体)との共催とする。


 参加児童のアンケートによると、楽しむことができたか、理科のおもしろさを感じることができたかという問いに、ほぼ全員が肯定的な意見であり、約半数が「時間をもっと長くしてほしい」と答えている。特に、高校生が教える立場になって科学のおもしろさを伝える経験をしたことが有意義である。例年、7月に開催していた宇東SSH科学の祭典を、本年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で12月開催に変更した。本校生徒・教員にとって、企画・準備の時間が十分に取れて良かった。また、大ホールで開催することによって、密集になることもある程度回避でき、児童の活動の様子を掌握しやすく、円滑な運営ができた。

(4)宇和島サイエンスセミナー(新型コロナウイルス感染症の感染拡大による中止)
 宇和島市内の小中学生の理科自由研究を支援するという取組である。宇和島市内の小中学校においては、理科自由研究のコンテスト等への応募数が少なく、本校の科学系部活動に所属する生徒の小中学生へのサポートによってコンテスト等への応募数の増加につなげるとともに、多くの小中学生に早い時期から科学研究に親しんでもらうことを目的としている。

※令和元年度の様子 ブレインストーミングによる自由研究のテーマ設定・研究内容の指導(理数科生徒が指導助言)


(5)成果と課題
 本年度、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で中止となる地域サイエンス事業がある中、宇東SSH科学の祭典、宇東SSH小学校出前講座は盛況のうちに開催できたことは大変良かったと捉える。開催の時期や場所の設定が適当であったことを踏まえて改善に生かす。次年度、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて開催できないとなった場合を想定して、小学生に向けた実験動画の制作(化学部や生物部を中心に制作中)、Zoom Meeting等を使った代替案の準備を進めておく必要がある。後述のⅣの2の(2)に掲載する小中学校教員等アンケート調査によると、出前講座のニーズはかなり高いと認識した。サイエンスを通して地域とのつながりを積極的に持ち、本校SSH事業の意義や成果を「見える化」する努力が重要である。また、SSH事業Ⅱ期になり、地域サイエンス事業を経験して本校に入学してきた生徒が多くいる。第1学年・第2学年の理数科・普通科の生徒を対象にした聞き取り調査によると、309人中48人と多い。小学生の頃にどのような影響を受けたか詳しく聞き取ることによって、地域サイエンス事業の拡充に向けたヒントが得られるかもしれない。


近隣のSGH校、SPH校等と連携した地域の活性化

1 地域の自然や産業、教育について討論する機会として、宇和島シンポジウムを開催することができれば、地域活性化のために科学を含めて様々な角度からアイデアを出し合うことができ、地域貢献に対する意欲や態度を養うことができる。

2 研究内容・方法・検証
(1)宇和島シンポジウム(新型コロナウイルス感染症の感染拡大による中止)
 Ⅱ期の第1年次には、地域のNPO法人SO-ENを主催とし、宇和島環境教育推進連絡協議会の共催、宇和島市教育委員会の後援を得て、フィールドワーク「海遊びから学ぶ」が開催され、愛媛大学南予水産研究センターの教員や学生、地域の水産業者、近隣の小学校の児童及び保護者、そして、宇和島市にあるSSH指定校・SGH指定校・SPH指定校から生徒及び教員が集い、宇和島の自然環境や水産業の大切さに、自然体験やワークショップ等を通して理解することができた。
 様々な年代や立場の人々が集い、豊かな自然に恵まれた郷土を大切に思う心を育てることができた。宇和島シンポジウムの趣旨とほぼ同じの、大きな規模の活動となった。第2年次以降、関係機関との調整等がうまくいかず開催には至らなかった。そこで、現在でも、小規模な活動でも地域のためにSSH指定校として貢献できることを考え、愛媛大学農学部との高大連携により、近隣の高等学校等の生徒及び教員を対象に、出張講義を実施している。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で中止となる場合もあった。

(2)成果と課題
 本校と、近隣のSGH指定校(平成27年度~令和元年度指定)の愛媛県立宇和島南中等教育学校、SPH指定校(平成29年度~令和元年度)の愛媛県立宇和島水産高等学校は、3校連携を結び、各校の研究成果報告会で課題研究を相互に発表し合うなど、科学交流を長く継続してきた成果はある。しかし、第3年次からは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、相互に行き来を控えている状況にある。
 また、本年度3月に宇和島市立南予文化会館で開催する本校のSSH研究成果報告会では、新たな試みとして、会場の近隣にある商店街アーケード内を広く借りて課題研究のポスター発表を行った。開けた空間で密を避けて実施でき、会場内の様子はYouTubeでライブ配信する。
 市民の皆様に本校SSH事業の成果を報告する機会を生み出すための工夫を、市役所や商工会と連携しながら企画
することができた。今後、地域連携をより拡充させる契機にもなったと捉えている。例えば、第3年次、本校で実施された防災教育に関する取組の中で、市内防災コンソーシアムを設立した。そのような既存の取組の中に、本校SSH事業の宇和島シンポジウムの要素を盛り込む形を模索していく。

 商店街アーケードで行った課題研究ポスター発表の様子(令和3年度)